挿し木とは
挿し木は”さしき”と読み、盆栽を増やす手段の一つです。すでに存在する盆栽の一部を切り取り、根や茎のない状態で土に挿し、発根を経て別木として独立させるという増やし方で、挿す部分を挿し穂”さしほ”と呼びます。挿し穂がその年に延びた新梢だと”緑枝挿し”と呼びます。「切り口は斜めがいい」とか「切り口は輪切りがいい」とか「挿し床はあの土がいい」とか細かい観点も多々ありますが全部やっても100%着床するわけではないので重要な注意点だけを3点ご紹介します。
注意点1:水をあげすぎない
根がないので発根しなければもちろん枯れてしまいますし、根がないので乾燥にも弱い状態なのですが、水をあげすぎると腐りの原因になったりカルス形成や発根を阻害することになったりします。カルスとは挿し穂の断面を守るために挿し穂自身が形成するもので、人間で言う所の「かさぶた」のようなものです。このカルスが邪魔になり発根を阻害するという話もありますが本当のところはどうなんでしょう。わかり次第追記します。湿度の高さの観点から「梅雨時期(5〜6月ごろ)」がおすすめです。
注意点2:気温に注意
発根に適した気温が樹種にもよると思うのですが20度〜25度で、これを超えると小さな虫や菌が増えてしまい挿し穂が腐ってしまったり被害にあったりするため極端に着床率が落ちるようです。気温の観点からも梅雨時期がおすすめです。
注意点3:挿し穂の若さが大事
挿し穂素材の若さ、親木の若さに発根率が関係しているとのことで、親木があまりにも古木だと著しく発根率が低下するようです。
結果まとめると?
梅雨時期に若い挿し穂を選んで挿し、風通しのいい日陰において乾燥しない程度に水を与えると良い。ということですね。あとは運次第。
メリットデメリット
挿し木のメリットは、挿し木可能であれば簡単に多く増やせるところでしょう。切って挿すだけですもんね。逆にデメリットは、挿し木可能な樹種が限られている(発根率の悪い樹種がある)のと、成功率が低いところでしょう。
その他
あとは、挿し穂に残す葉の数にも影響があります。挿し木は根がないため挿し穂の葉や茎に残された養分を使って発根します。そのため葉を落としすぎると力不足で発根しきれなかった、ということになりかねません。しかし葉は水分を蒸発するように作られているため、大量に残すとすぐに水分を失って枯れてしまいます。このバランスが最適になるような数で葉を残すのですが結局日々の天気・気温、地域独特の気候、生育環境(ビニールハウスなのかベランダなのか)にも左右されるため「これ!」という条件は確立されていません。ある程度の目安はあるので自分で最適を見つけましょう。